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Welcome to Mtale novel

おとり捜査

  12, 2017 08:05
おとり捜査 プロローグ

そこはアマンダのある六本木交差点から程近いビルの一室であった。ビルの窓
からは首都高速道路を渋滞で殆ど動かない車の列を見下ろせる。よく見ると楽
しそうにお喋りをしながら道行く人並みも眼下に見ることが出来る。
黒木郁美も数時間前までは、その人並みの中に居たのだ。

「ほら、もっと窓の側に近づけよ!」
「・・・・・」
「そこじゃ、外から良く見えないだろ!」

唯一身に付けている赤いエナメル素材で出来たハーネスは郁美の股間に食い
込んでいた。胸の所は刳り貫かれており、白いバストをあたかも強調するよう
露わに曝け出している。

「なにをしてるんだ!早くしろ!」

言い終わらないうちに安田信二の手にした台本が郁美の尻を叩く。Tバック状
態であるボンデージは郁美の大きな尻に振り下ろされた信二の暴力から守るこ
とはなかった。

郁美は言われた通り全身をオズオズと窓に近づける。明るい室内は窓を鏡へと
変貌させており、郁美の卑猥な全身を映し出している。

「そのまま動くなよ」

そう言うと信二は煙草に火を付け、手にした台本を捲りだした。

郁美の全身が窓に映し出されて、何分が経過しただろうか?彼女には気が遠く
なるような時間であった。誰も自分の姿に気がつかないよう祈るしかなかった。




今日、郁美は一ヶ月ぶりに六本木に来ていた。行き付けの美容院に予約が取れ
たのである。時間より早く到着した郁美は待合室で雑誌を読んでいると美沙と
名乗る女の子に声を掛けられたのである。二十歳を少し越えたくらいであろう
か。郁美より若干若いように思われた。色白でショートカットの彼女はとても
積極的で他愛も無い話が弾んだ。

しばらくして彼女はスタッフに案内され席を立ったが、殆ど同時に郁美の順番
も回って来た。おかげで待ち時間がとても短く感じられたのである。

カットが終わって勘定をしていると、偶然にも彼女とまた遭遇したのである。

「偶然ね♪」
美沙が声を掛けて来た。
「あっ、先ほどはどうも」
「こちらこそ。笑」
「とてもステキなカットね。誰が担当したの?」
「佐々木チーフよ」
「あぁ、だからか~」

郁美自身も今日の仕上がりは気にいっていたので美沙の賛美を素直に受け止め
たのである。

「貴方の髪も素敵だわ」
「そうかな~。」
「本当に・・・」
「これから撮影だから、ちょっと奮発して来たの」
「撮影?」
「そうそう、笑」
「美沙さんは、モデルさんかなにか?」

確かに彼女は目鼻立ちがシッカリしており、モデルかも知れないと郁美は思っ
たのであるが、身長は150cmを少し越えたくらいであろうか。162cmの郁美は内
心、モデルなら私の方が・・・などと思っていた。

「写真じゃなくて、動画なんだけどね。」
「へぇ~、すごい!」
「そんなことないよ。郁美さんだってOKだよ」

そう言って美沙は郁美を嘗め回すように見た。

「ないない。笑」
どちらかと言うと謙虚で真面目な性格の郁美は照れながら答えた。

「そんなことないって、紹介してあげようか?」
「えっ?いいわよ。笑」
「忙しいの?これからデートかなにか?」
「ううん、そうでもないけど・・・・・」
「じゃ、見学だけでも来たら?」

そう言うと勘定を済ませた美沙は郁美の返事も聞かず歩き出したのである。
半ば強引に郁美は美沙に誘われたのである。郁美の気持ちの中には、この娘が
出来るのだったら、私にもと言う気持ちもあったことは事実であった。

「近くなの?」
「うん、歩いて10分くらいの所」
「そうなんだ~」

10分歩いただろうか・・・。

「ここよ」
通りに面した雑居ビルであった。エレベータを待つ間、郁美胸は知らない世界
を垣間見る好奇心で高鳴っていた。

「ちょっと遅れちゃったから、怒られるかなぁ?」
「そうなの?」
「うん」

美沙と郁美は10階でエレベータを降りると”コスモ企画”と言うプレートの
付いたドアを開いた。

「おはようございます~!」
「遅いぞ!美沙!!」
「すみません!」

受付の壁越に会話が飛び交う。
「郁美さん、悪いけど話を合わせてね」
「えっ?」

「オマエ、今、何時だと思っているんだ?」
「すみません、友達と話が弾んで、つい・・・」
「友達ぃ~?」

男は美沙の後に続く、郁美を初めて見止めたようであった。
「あっ、失礼。友達が一緒だったのか」

「紹介します。友達の郁美です。」
「よろしく、お願いします」
郁美は軽く会釈をした。

「こちらが、監督の安田さん」
「はじめまして・・・」

安田は郁美に握手を求めた。郁美もそれに答えて手を出すと、安田は力強く郁
美の手を握り返して来たのである。

「美沙の友達にしては魅力的な娘だな」
「どういう意味ですかぁ~!それ」
ボーイッシュな美沙が口を尖らせる。
「そのままだよ」
「もぅ~」

同情を求めるように美沙は郁美を見るが、郁美の神経は別にあった。
安田はなかなか手を放そうとしないのだ。

「安田さん!いつまで郁美の手を握っているんですか!」
美沙がそれに気がつき安田を嗜めたのである。
「あっ、悪い。つい見惚れてしまって。笑」

そう言いながら、安田はやっと郁美の手を放した。
顔は笑顔を作っていたが、目は真剣そのものでる。郁美は蛇に睨まれたような
感覚に襲われた。

「ところで、久美ちゃんは一緒じゃないのか?」
「えっ?まだ来てないんですか?」
「一緒だと思ったよ」
「違います」
「あいつ、来たらお仕置きだな!」

その時、安田の携帯電話が鳴った。

「ちょっと、失礼」
安田は胸ポケットから携帯電話を取り出すと受信ボタンを押す。

「もしもし・・・」
「・・・・・・・」
「なにをいってるんだ!」
「・・・・・・・」
「早く来い!」

電話の相手を怒鳴りつけた。
「・・・・・・・」

「どうかしたんですか?」
美沙が心配して安田に尋ねた。
「ちょっと待て」
安田は電話の相手にそう告げると美沙に向かった言った。

「久美の奴、急に来れないとか言ってるんだ。」
「えぇ~!そんな・・・私、久美に嫌われたかな?」
「そんなことないよ」
「・・・・・・・」
「困ったなぁ、明日は大丈夫?美沙・・・」
「明日か・・・・、それより、・・郁美に代役をやってもらうとか?」
「えっ?」

突然の展開に郁美は困惑した。

「大丈夫よ。お願い、私、明日予定があるんだもの」
「・・・・・・・」
「いいでしょ?」
「・・・・・・・」
「じゃ、決まり。」
「じゃ、久美は断るからな」
安田は美沙に確認を求めたのである。
「はい」

美沙が返事をする。

郁美がモタモタしている間に話は勝手に決められてしまったのだ。
安田は電話の相手を怒鳴りつけると、代役が決まったことを告げ切ってしまっ
たのである。

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  •   12, 2017 08:05
  •  0

M物語(Tsf/SM小説)Vol 2

  20, 2017 14:12
>Mtale vol 2_D

M物語(Tsf/SM小説)Vol 2を掲載致しました。
男→女への転換SM小説(ショートショート)を5編収録。
PDF 185頁(3DCG画像のオマケ付95枚)です。
[ DLsite ][ DMM ]

------------------------------------------------------------
第一話 2050
高梨は1時間だけ女性として仮想世界を体験することになった。
しかし、現実の世界の1時間は仮想世界の1年に相当していたのである。
真理として順応する為に潜在意識の中に植え付けられていた女性としての感情が
高梨を変えていく。そして現実の世界に戻った高梨を待ち受けていたものは・・・・

第二話 2051
バーチャル体験を終えて現実の世界に戻った高梨であったが、戻った身体は
仮想空間で過ごした真理の身体であった。多額の借金を背負うことになった高梨は
エリート社員としての道を諦めバーチャルガールとして働くことになる。
しかし、真理の身体にはセクサロイドとしての機能が埋め込まれていたのである。

第三話 臨床実験
予備校生の篠原はアルバイトで臨床実験に参加することになった。しかし
思わぬ副作用により新たな臨床実験に参加することを余儀なくされる。それは
男性を女性に変える臨床実験であったのだ。

第四話 ニアミス
多次元世界の接近により二つの世界が干渉してしまった。二つの世界は殆ど
同じ世界ではあるのだが、唯一、エリート課長の遠藤とOL瑞穂の立場が逆転
している世界であった。瑞穂が現実逃避を考えてしまうと、遠藤は瑞穂の身体と
入れ替わってしまうのである。

第五話 オークション
はじめてネットオークションに出品した美奈子であるが、誤って商品名に自分の
名前を記載してしまっていた。誤りを訂正する間もなくオークションは終了してしまう。
その日から美奈子には何者かの意思による災いが降りかかってくるのであった。
  •   20, 2017 14:12
  •  0

パス 第一章 出逢い

  19, 2017 22:50
パス 第一章 出逢い

この世界に踏み込んだ切っ掛けは、今でも鮮明に覚えています。それは中学一
年の夏の日の出来事でした。自分で言うのもなんですが小学校の時は家で勉強
をしなくてもクラスでトップクラスでした。しかし、中学になると私の成績は
クラスで20番目と落ちてしまったのです。やはり中学にもなると家で勉強を
しないと試験では良い点数が取れなかったのでしょうか。

心配になった母親は私に家庭教師をつける事にしました。家庭教師と言っても
近所に住んでいる大学生で、私は姉と同室だった為、私が先生のマンションに
行って勉強を教わることとなったのです。そしてそれが水野涼子さんとの出会
いでした。

水野涼子さんは目が大きく長い髪がとても奇麗な人でした。はじめてあった時は
とてもドキドキしてしまい勉強どころではなかった事を覚えています。

ある日のことです。私はどんよりとした雲の中、雨が降っていなかったので傘
も持たずに涼子さんの部屋へと向かったのでした。しかし、家を出るとポツポ
ツと大粒の雨がアスファルトに落ち出すではないですか。涼子さんのマンショ
ンまでは歩いて10分程度の距離だったものですから、私は歩く足を早めるこ
とにしました。

しかし、大粒の雨は急に滝のように激しく降り出したのです。私は全力で走り
ましたか涼子さんのマンションに着いた時にはプールにでも飛び込んだように
頭の天辺から靴の中まで水浸しの状態でした。悪いことは重なるもので、その
日に限って涼子さんは帰宅しておらず、マンションのドアは固く閉ざされてい
たのです。

2、30分も待ったでしょうか、夏とは言え全身ずぶ濡れ状態の私は寒気を感
じはじめていました。

「岬君?」
振り返るとそこには涼子さんが傘を片手に立っていました。
「ずぶ濡れじゃないの。どうしたの?・・・・とにかく中に入って」
そう言いながらショルダーバックから鍵を取り出しドアを開け私を招き入れた
のです。

「ちょっと、そこで待っていてね」
玄関に入ると私に待つように言いい、涼子さんは奥の部屋からバスタ
オルを持って来てくれました。

「服もビショビショね。とにかく早く脱いで暖かいシャワーを浴びなさい」
「大丈夫です」
「何を言っているの。風邪でも引かれたら私がお母さんに怒られちゃうわ」
「・・・・・」
「それに、そんなビショビショじゃ部屋が濡れちゃうじゃない」
「・・・はい」

私がシャワーを浴びて出て来ると脱衣所には涼子さんのジーンズとTシャツが
用意されていました。

「私のだけど、我慢してそれを着てね」
私がお風呂から出て来たのを察した涼子さんが隣の部屋から声を掛けたのです。

Tシャツは男女兼用のモノでしたが、ジーンズは女性物でした。ハイウエスト
スリムのジーンズでヒップは大き目に作られているのですがウェストが細くな
っています。

「どう?着れる?」
「はい」
「本当だ。ピッタリじゃない」

私の顔は涼子さんのモノを着ていると思うだけで真っ赤になってしまいました。
それを見た涼子さんは私をからかうように言ったのです。

「岬君は女の子みたいな体格をしているのね。笑」
「やめて下さい」
「とても似合うわよ。マジで」
「・・・・・・」

確かに他の男友が成長期になって、日々体格が大きくなるのに対して私は成長
が遅く160cm程度しかなかったのです。多分、涼子さんと同じ位の身長だ
ったと思います。もっとも、今も165cmしかありませんから成長が遅いと
言うより殆どその時点で終わってしまっていたのかもしれません。その後、身
長が伸びなかったのは女性ホルモンを摂取した影響だったのかは定かではありませんが。

「それにしても色白で、肌の木目も細かくてお化粧したら可愛くなるわよ」
「冗談、言わないでください」
「あはは、そうね。さっそく勉強を始めましょうか。私が帰るの遅れてしまっ
たから30分も過ぎてるし」

その日は勉強が身に入りませんでした。涼子さんの服を着ていると思うと気が
集中出来なかったのです。

「まだ、乾いていないわね」
「・・・・・・」
「その服を着て帰っていいわよ」
「でも・・・・」
「そうね。私の服で帰ったらお母さんが変に思うかも知れないわね」
「近くにコインランドリーで乾かして来ます」
「あっ、その手があったわね。お金持っている?」
「はい」

そう言うと私は近くのコインランドリーに雨で濡れた自分の衣服を乾かし行っ
たのでした。

今から考えると、とても些細な出来事のようですが、私にとってはこのことが
人生の分かれ道だったように思います。

----------------------------------------------------------------------

ある日、いつものように涼子さんのマンションで勉強を教えてもらっていると、
彼女が言い出したのです。

「聞いてるの?」
「えっ?」
「さっきから私の胸ばかり見てない?」
「そんなことありません」
「岬君も年頃だから異性に興味をもつことが悪いとは言わないけど、何だか視
線を感じちゃうわ」

確かに涼子さんのバストが気になっていたのは事実です。好奇心もありました。
その日は以前、私が雨の日に借りて着たTシャツを彼女が着ていたのです。
しかし、彼女が身につけたTシャツは私が着たそれとはまるで違って見えまし
た。くびれたウエストに膨らんだバスト、全体に丸みを帯びた身体を包むTシ
ャツは薄っすらと下に着けているブラジャーのラインを浮き彫りにしているの
です。

「取り返しのつかない事が起きたら大変だから、家庭教師を辞めることにす
るわ」
「そんなこと言わないで下さい」
「だって、岬君、ずっと私のバストばかりみてるじゃない。勉強にも身が入ら
ないようだし。岬君が女の子だったら問題なかったんだけど」
「・・・・・・そうじゃないんです」
「そうじゃないってどう言う意味?」
「確かに、気になってましたが・・・・羨ましかったんです」
「羨ましい?」

私はその時、なんてことを言ってしまったんだろうとも思いましたが素直な気
持ちでした。

「はい」
「なにが羨ましいの?」
「その・・・バストが・・・」
「バスト?」
「・・・・」
「そうか、岬君は、そういう子だったんだ」

「すみませんでした。へんな事を言って」

私は広げていた勉強の教材を片づけて帰ろうとしました。

「いいのよ」
「・・・・」
「その方が二人の関係にとっては良いかも知れないわね。あなたがそうなら変
なことは起きないわね。家庭教師を辞めないで済むもの」
「本当ですか?」
「えぇ、その代り・・・岬君は、ここでは女の子よ。いい?」
「・・はい」
「よし、じゃ・・・ちょっと待って」

すると涼子さんは自分の整理タンスを開け中から何かを取り出したのです。

「なんですか?」
「これを着けて」
「えっ?」

涼子さんの取り出したものはピンクのブラジャーだったのです。
「着けてみたかったんでしょ?」
「そんなぁ・・・いいです」
「遠慮しなくていいのよ。二人だけの秘密にしてあげる」
「・・・・・・」
「嘘だったの?」

私は無言で首を横に振りました。

「だったら、早くブラジャーをしなさい」
「・・・・・・」
「仕方ないわね!手間のかかる子」

言い終わらないうちに涼子さんは私に近づいたと思うと着ていたTシャツを脱
がせたのです。

「こうやって着けるのよ」
私は着せ替え人形のように抵抗するでもなくじっとしていました。

「キツク無い?」
私は再び無言で頷いた。すると涼子さんは脱がせたTシャツを再び私に着せて
くれたのでした。

「これからは、いつも女の子になってから勉強するのよ。いいわね」
「はい」
「名前も変えましょう。いい名前無いかしら・・・岬だから・・・ミサちゃん
にしましょう」
「・・・・」
「じゃ、ミサちゃん勉強の続きをはじめましょうか」

それから一時間、私は涼子さんのブラジャーを着けたまま勉強をしました。

「それじゃ、今日はここまでね」
「ありがとうございました」
「ブラを外さないとね。お母さんにばれたらビックリしちゃうから。笑」

私はブラジャーを外すと涼子さんに手渡しました。

「本当に二人だけの秘密にして下さいね」
「わかってるわ。笑」
「失礼します」
「あっ、次は月曜日だったわよね。いつもより一時間早く来れる?」
「はい」
「じゃ、そうしてくれる?これからは女の子の勉強も教えてあげるから」
「はい」

私はブラをしている感覚を残したまま、涼子さんのマンションを後にしたので
した。

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  •   19, 2017 22:50
  •  3

顔の無い肖像画 第1章 夢(2)

  18, 2017 21:45
顔の無い肖像画 第1章 夢(2)

暗い部屋で瑞穂は椅子に縛られていた。いつもの夢である。いつもと違うとこ
ろはそれが夢であるを認識していることである。毎朝見る夢では彼女が夢だと
気がつくと必ず現実の朝に引き戻されていた。しかし、今回は初めからその事
を理解していたのである。

黒い闇が動いていた。視界が少し開けるとそこには荒縄で縛られた自分自身の
姿が浮かんで来た。椅子の背もたれを抱える格好で後ろ手に縛られ、バストの
上下を二重にされた縄が瑞穂の身体を締め付けているのである。さほど大きく
ない彼女のバストが強調された縛り方である。

瑞穂は強い視線に堪えていた。

「誰なの!」

彼女が見えない視線に向かって問いかけた。
すると再び闇が動き出し目の前に男が現れたのである。竹中尚であった。
闇で気がつかなかったが、彼は手を伸ばせば瑞穂に触れることの出来る程、至
近距離に居たのである。

竹中は無言で瑞穂を見詰めていた。

「この縄を解いてください」
瑞穂は竹中に懇願していた。

「・・・・」
竹中は無言のまま、そっと手を伸ばすと両手で瑞穂の脚を掴み、強引にピッタ
リと閉じられた腿を開こうとするのである。
瑞穂は必死に脚に力を入れ、自分自身の秘部を竹中の視線から隠そうとする。
少しづつ脚が開かれて行く。

「やめて!」
竹中の力が弱まることな無かった。それどころか瑞穂は力を入れて脚を閉じる
ことに限界を感じていた。

遠くで瑞穂を呼ぶ声が聞こえて来た。
「瑞穂」

目の前に光が戻った。
「瑞穂!」
隣で久美子が瑞穂の腿を掴んで揺らしていた。

「あれ?」
「もう、授業は終わったわよ。笑」
「う~ん」

瑞穂が辺りを見回すと授業を受けていた学生達がザワザワと話をしながら出口
に向かって移動していた。

「よく寝てたわよ」
「いつのまに寝ちゃったんだろ・・・」
「夜更かしのし過ぎじゃないの?」
「うん、最近、睡眠が浅くて・・・寝不足なのかな」
「そうなんだ?悩み事だったら相談に乗るわよ」

久美子は好奇心を露わにしていた。
「心当たりはないんだなぁ。それが・・・」
「なんだ。笑」
「なんだってなによ。笑」
「別に・・男で悩んでるのかな?と思ったのに」
「それだったら、悩んでみたいわ」
「嘘でしょ。瑞穂くらい可愛かったら日替わりメニューじゃないの?」
「だったらいいのになぁ。笑」

瑞穂と久美子は教室をあとにした。

「ところで・・どうするの?」
「どうって?」
「竹中さんの件」

瑞穂は忘れていたわけではなかった。それどころか授業中はそればかりを考え
ていたのである。

「あぁ」
「もう、忘れてたの?」
「モデルなんて、きっと冗談よ」
「冗談で言わないでしょ?そんなに不真面目な人じゃないと思うけど」
「人のことだと思って」
「卒業作品というのは、どうだか知らないけど、瑞穂に気はあるんじゃない?」
「う~ん、竹中さんって目が鋭くて私のタイプじゃないもの」
「そうなんだ?芸術家って感じで私は好きよ」
「ああいうのがタイプなんだ?久美子」
「そう」

キッパリ久美子は言い切ったのである。
「じゃ、久美子がモデルを買って出たら?」
「瑞穂がいいならそうしちゃうよ」
「どぞどぞ・・・」

竹中へのアプローチの為、夕方までキャンパスに残ると言う久美子を置いて瑞
穂は正門へと向かった。

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  •   18, 2017 21:45
  •  0

顔の無い肖像画 第1章 夢(1)

  16, 2017 20:26
顔の無い肖像画 第1章 夢

目の前が黒い絵の具で塗り固められた部屋の中、瑞穂は椅子に座らされていた。
部屋が広いのか狭いのか、椅子から立ち上がるどころか身動きすら出来ない彼
女には予測もできなかった。静まりかえった部屋には彼女自身の心臓の高鳴り
だけが響いていた。

(そこに居るのは誰?)

真っ暗な闇は微かに感じる人の気配を遮っていた。その者は瑞穂を鋭い視線で
突き刺しているのだ。少なくともそう彼女は感じていた。

心臓の鼓動はしだいに大きくなり、ゆっくりした重低音からアップテンポな高
音へと変化した。

(いつもの夢?)

瑞穂がそう気がつくと部屋中を目覚まし時計の音が駈け回っていたのである。

(ジリジリジリ・・・・)

「また、同じ夢か・・・」

石原瑞穂、20歳。彼女は東京のT芸術大学に通う花の女子大生で、18歳の
時に米沢より上京し都会の安アパートに一人で住んでいるのである。小さい頃
から両親と暮らしていた瑞穂は一人暮らしに憧れ東京の大学を受けたのであっ
たが、幸運にも難関とされていたT芸術大学に合格したのだ。

しかし、一人暮らしも始めの頃は親の小言からの開放感を満喫していたのだが、
二年も経つとそれも薄れ、逆に人恋しくなるようになっていた。

「いけない!こんな時間だわ」

瑞穂は食事も摂らずに手早く身支度を終え、安アパートを後にした。
----------------------------------------------------------------------

午前中の講義を終えると瑞穂は親友の堺恵子と今日初めての食事を摂りに大学
構内にある食堂へと向かった。正午にはまだ早い時間の為か食堂内は思ったよ
り閑散としていた。

恵子との取り留めのない話をしながら、瑞穂はいつも午後の授業までの時間を
ここで過ごすのである。

「ごめん。今日はちょっと用事があるんだぁ」
恵子が食事を終えると瑞穂に告げた。

「えっ、そうなの?午後の授業は?」
「今日はパス!」
「あれあれ・・サボリか。笑」
「ちょっとね」
「怪しいなぁ~」
「今度、ゆっくり話すね。今日は時間がないから・・・」
「はいはい。頑張って来て」
「了解!」

なにを頑張るのか知らないが、恵子は足早に食堂を後にした。一人取り残され
た瑞穂は時間を弄ぶように食堂内を見回した。

彼女は暇な時、人間ウォッチをして過ごすことが多い。学食内は以前と閑散と
していたが、それでもいくつかのグループが談話をしながら食事をしていた。
中には瑞穂のように一人で食事をしている者もいたが、殆どの場合、書物など
を手にしていた。

(あれ?)

数人のグループとグループの間に一人、食事もせずにずっと彼女を見つめる男
性に目が止まった。

(私を・・・見てる?)

瑞穂は自分の後ろを振り返ったが、男性が注目しているだろう対象は見当たら
なかった。

もう一度、男性に視線を戻したが、依然として瑞穂の方を見つめているのであ
る。瑞穂は目のやり場に困った。彼女はしかたなく午後の授業で使う参考書を
バックから取り出し目をその本の上に落すことにした。

本を見ながらも瑞穂は男性の視線を感じ続けたのである。そう、どこかで感じ
た視線であった。最近、何度も感じている視線。夢の中の視線。
そう気がつくと、今度は心臓の鼓動が高鳴りだした。

(ドキッ・・・ドキッ・・・ドキッ、ドキッドキドキ・・・)

瑞穂は心臓の高鳴りが止まらないことに不安を覚え。まだ、時間は早いが食堂
を出る決意をし本を閉じた。その時、後ろで男性の気配を感じたのである。
金縛りにあったような感覚が彼女を包んだ。

(えっ?何?)

「石原瑞穂さん?」
「えっ?」

瑞穂が振り返る。
「あっ、はい」

そこには、座っている時には気がつかなかったが、180センチ以上はあるだ
ろうか?先程まで離れた席から瑞穂を見詰めていた男性が不器用な笑みを浮か
べて立っているのだった。

「ちょっといいかな?」
「前にどこかで会いました?」
「いや、はじめてだよ」
「なんで私の名前を?」
「友達に聞いたんだ」
「えっ?」
「先日、キミを見かけて・・・」
「・・・・・・・・・」
「ストーカーじゃないよ」
「・・・・・・・・・」

「僕の名前は竹中尚、この大学の四年なんだ」
「そうですか・・・・」

瑞穂は胸の高鳴りを隠そうと全身にバリアーを貼っていた。

「突然だけど、頼みがあって」
「えっ?なんでしょう?」
「石原さんに僕の卒業作品のモデルになってもらいたくて」
「?・・・・」
「突然、で変な奴だと思われることは、十分承知の上であえてお願いしてる」
「私がモデルなんて・・・」
「そんなことないよ。石原さんでなくては駄目なんだ」
「私、自信ないし」
「大丈夫」
「・・・・・・・」
「お礼もするから」
「でも・・・」
「いいよね。今日の夕方、6時に正門で待ってるから」
「駄目です」
「絶対に待ってるから」

そう言うと竹中は早足で学食を出て行ってしまったのである。瑞穂は狐に摘ま
れたように呆然としていた。

(冗談よね?)

「よっ!」
気がつくとクラスメートの飯田久美子が目の前に居た。

「あっ、こんにちは」
久美子は恵子程付き合いがあるわけではないが、午後の授業を一緒に受けてい
るのである。

「ちょっと早く、来てしまったわ」
「そうなの?」
「ところで・・・瑞穂、竹中さんを知ってるの?」
「えっ?いえ」
「今、なにやら話ししてたでしょ?」
「そうだけど。よく知らない」
「そうなんだ?でも、あの人は天才みたいよ。この大学期待の星だって」
「??」
「今年のクレア賞で新人賞を取った人」
「そうなの~?」

クレア賞と言えば世界的な規模で実施される美術コンテストである。
「知らなかったの?」
「クレア賞を日本人が取ったというのは知ってたけど、それがあの人だとは」
「おいおい」
「そう言えば・・・」

やっと瑞穂も思い出した。確かに竹中尚であったのである。

「で、なにを話してたの?」
「うん・・・卒業作品のモデルになってくれって」
「え~ぇ、それってすごいことかもよ」
「きっと冗談よ」
「でも、天才は何を考えてるかわからないから」
「おい。どう言う意味じゃ!」
「あはは、彼も男だから、、ナンパかもね」
「ナンパかぁ」
「そうそう・・ヌードとか」
「げっ、パスパス」
「でも芸術家はヌードに偏見をもったら駄目でしょ?」
「それはそうだけど、自分が描かれる立場にはなりたくないわ」
「そうね。私達は描く側よね。笑」
「でも、男のヌードを描くのもちょっと」
「そうなんだ?私ならバッチリ、OKだけどなぁ」
「あは(笑)」

瑞穂は自分がヌードにされ、竹中からの強い視線で見つめられることを想像し
ていた。そして熱いものが込み上げてくる自分に気がついたのである。

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