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M物語(TSF小説)

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2050 第1章 プロローグ

  09, 2017 00:19
2050 第1章 プロローグ


高層ビルの立ち並ぶ街路樹に最後まで縋り付いていた木の葉が、昨夜から吹き続けていた
北風でその姿を消していた。高梨真理は勤めを終えて人影の少ない歩道を始発電車の待つ駅
に向かって歩きだした。季節を感じさせない運動靴にスリムのジーンズ、そしてTシャツ姿
である。申し訳なさそうに薄地のハーフコートを羽織っていた。艶やかなストレートの黒い
髪が歩くリズムと風に合わせて揺れている。きっと歩くのを止めるとその髪は腰まで達する
に違いない。あまりに軽やかなリズムで歩く彼女の姿は夜の静けさを残す街には少し不釣り
合いな気もする。

西暦2050年、地球規模での環境破壊は誰もが予測したにも係わらず着実の侵攻してし
まった。特に20世紀後半からは環境ホルモンの影響により人類の身体も虫食まれ生殖機能
に多大な影響を及ぼしていた。男子の出生率が21世紀初頭より極端に落ちたのである。
その上、生まれて来た男子は正常な生殖機能を有していないことが多く、正常な男子の出生
率は20%を下回る状態となった。人類はこの危機的情況を脱する為に人類補完計画を発動
させたのである。その概要は20世紀までの道徳的観念を排除し生命誕生を女性の身体から
遊離させ子宮外妊娠(人工出産)と性転換を合法化することであった。これにより女性の社
会進出が浸透し男性社会は事実的に崩壊したのである。

一方、バイオテクノロジー・クローン技術は目を見張る発達を遂げ、それらは人類にも適用
されだしたのである。はじめは家畜の増殖に利用されていた技術だが21世紀前半には医療
分野で適用され、そして5年前より人類補完計画の発動によって完全身体クローンも製造さ
れるようになったのである。すなわち、18歳を越えた男性や女性が性転換を行うに当たっ
ては今までの部分的治療ではなくクローン身体をそのまま利用した記憶移植を実施するので
ある。もっともこれらは犯罪に悪用される恐れもある為、国家機構管理下の限られた施設で
実施され記録は厳重に保存されている。

「でもさ、あれは部長がユーザと約束したんだぜ!その場凌ぎであんなこと言いやがって、
女は後先考えないで発言するから困るんだよ。結局、尻拭いをするのはオレだぜ」
「佐伯だって3年前までは女性だったんだろぅ?そんな封建的な考えをしていると仕事も、
うまく行かなくなるぞ」
「オマエわかってねぇなあ!オレは完全クローンで性転換をしたから脳の構造も男なんだ」
「部長は性転換もしないでチャラチャラしているだろぅ!あれで仕事が出来るかってんだ!」
「それが封建的だと言ってるだよ。女性だっていろんな人がいるだろ?偏見で人を見るなよ」

高梨は同僚の佐伯聡(旧姓、聡美)が仕事でストレスを溜め荒れている様子を見るに見かね
会社帰り、近くの飲み屋に入り一杯付き合っていたのである。

「オマエは純男だからなぁ!今の世の中、貴重価値だよな!オレの気持ちがわかるかぁ?女
を捨てて男になった気持ちが!えっ?おい!」
「・・・・・・」
「部長のヤツ、オレを馬鹿にしてるんだよ!」
「それは考え過ぎだよ。・・・・呑み過ぎだな、今日は」
「これくらいの酒で誰が酔うんだ?オレは少しも酔ってないぞお!」
「わかった、わかった。他の客に迷惑だから少し小さな声で喋れよ」
「オマエあの部長の下でよくやってけるなぁ。給料だって安いし・・・一緒に辞めちまわね
ぇか?金になる仕事があるんだが・・・・なんだったら紹介するぜ」
「おいおい、僕は今の仕事に満足してるよ」
「・・・・・、まっいいか」

結局、彼は辞表を会社に提出し一ヶ月後に辞めてしまった。次の就職先に当てがあるようだ
ったが不況の世の中である、今より条件の良い就職先があるとは高梨には思えなかった。

「高梨君、忙しいと思うけど佐伯君の仕事、いくつか君が対応してくれるかな?」
「はい」
「彼の仕事は雑な所があったからユーザからクレームが出ないように注意してね」
「はい、気を付けます」
「ところで、今夜時間取れる?」

高梨は部長の山崎優子が一瞬、彼の身体を眺めて舌なめずりをしたように見えた。20世紀
後半では女性に対するセクハラ問題が数多く取り上げられたが、21世紀になってからは男
性に対するセクハラ問題も急増したのである。高梨の勤める会社では男性社員が100人程
働いている。全社員数が約250名なので40%が男性という計算になるのだが佐伯のよう
な性転換組がその内の50%を占めている為、高梨のような生まれながらの男性社員は全体
の20%程度しかいない。しかも高梨の世代である20代となると数える程しかいないのだ。

その上、高梨は容姿にも恵まれていた。身長は180cmを超え背丈は高い方であり学生時代
からスポーツをやっていた為、身体は引き締まっている。顔の方も俳優を思わせる端整な作
りで黙っているとワイルドな感じなのだが笑うと何処となく子供の面影が表れるのである。
そんな高梨を周りの女性が放って置くはずもなく、彼が入社した当時は熾烈な争奪合戦が社
内であったらしい。高梨自身はそんな事に無頓着で、早々に総務部の女の子にアプローチし
彼女を特定してしまったのだ。今日はその恋人である斎藤めぐみと久しぶりのデートの約束
をしていた。サラリーマンといえどもプライベートな時間は大切にするのが彼の信条であり
高梨は部長の申し入れを断ったのである。

「すみません、今日はプライベートな用事があるもので」
「あら、そうなの?残念だわ。彼女とデートかなぁ?(笑)」
「・・・・・」(少し顔が引き攣ったような気もしたが)
「高梨君は純男だからモテルでしょ!プライベートも大事だから頑張ってネ」
「でも仕事も忘れないでよ」
「はい(笑)」

その日の夜、ユーザ先で思ったより時間を取られてしまた高梨は約束の時間より30分遅れ
て待ち合わせのスナックに着いた。時間が早い為か店の中は思ったより空いており5、6人
の客がいるだけであった。めぐみはまだ来ていないようだ、彼はカウンターに座りソルティ
ードッグを頼んで彼女を待つ事にした。その時、携帯電話が鳴った。めぐみからであった。

「もしもし、高梨さん?わたしです」
「どうかしたの?もう30分も過ぎてるよ(笑)」
「急用の仕事が突然入ってしまって、まだまだ終わりそうにないのよ」
「ほんとに?終わるのは何時頃になりそうなんだ?」
「それが私はお手伝いなんだけど帰り辛くて」
「無理しなくて良いよ。いつでも逢えるんだから」
「ゴメン!この埋め合わせはきっとするわ」
「楽しみにしてるよ、一杯呑んだら今日は僕も帰るよ」
「浮気しないでね(笑)」
「あははは、わっかた!また連絡するから、それじゃ!」
「明日、連絡頂戴ね。また!」

電話を切ると同時の注文していたソルティードッグとおつまみが目の前のカウンターに置か
れた。高梨は室内に心地よく流れる20世紀後半に流行ったバラードを聞きながらグラスを
口に運んだ。(こんな事なら部長の御供をしておけば良かったかな)

「この曲は誰の曲でした?」
「ボズ・スキャクスです」
「そうですか。バーテンさんの趣味ですか?良い曲ですね」
「祖父が昔よく聞いていたもので私も好きになったのですが今時知ってる人はいませんね」
「どこかで僕も聞いた気はするんですけど思い出せなくて、ボズ・スキャクスですか」

グラスの中が殆ど空になり、そろそろ帰ろうと腰を浮かせた時後ろで声がしたのである。部
長の山崎優子であった。

「こんばんは」
「あ、部長。一人ですか?」
「高梨君こそ今日はデートじゃなかったの?」
「振られてしまいました(笑)」
「あらあら、それだったらお隣りに座ってもいいですかね」
「バーテンさん、もう一杯お願いします。部長は?」
「モスクミールを」
「そう言えば今日何かお話が有ったんですよね」
「えぇ」
「なんですか?」
「高梨君は佐伯君と同期だったわよね」
「はい。それが?」
「連絡とかは取り合ってるの?」
「いえ。会社だけの付き合いだったもので、彼が会社を辞めてからは全く取ってませんが」
「・・・・・・」
「どうかしました?そういえば良い転職先があったような事を言ってましたが」
「えぇ。先日、会社に彼から電話があったのよ」
「そうなんですか。なんだったんですか?」
「新しい会社が開店するんで遊びに来ませんか?ってお誘いだったのよ」
「なんのお店なんですか?」
「バーチャルリアルティーのお店らしいんだけど」
「バーチャル?なんですか?それ」
「私も良くわからなくて電話を貰った時に聞いたのよ」
「それで?」
「どうも、仮想的な体験をするお店らしいの」
「何なんでしょうかね」
「来て貰えればわかるって言われたわ」
「それで今日、僕と一緒にと?」
「えぇ」
「場所は何処なんてすか?まだ早いから行ってみましょうか」
「池袋なので20分もあれば着くと思うけど」

二人は注文した飲み物を一気に呑み干すとすぐにスナックを後にした。

「確か電話で聞いた場所はこの辺りなんだけど」
「VRstudio ですよね」
「えぇ」
「あった!あそこ」

最近、完成した高層ビルの会社案内板の24階にVRstudioの文字を見つけたのである。
いくつかあるエレベータの内20階から30階に停止するものを選び乗り込んだ。新しく
建てられたばかりの高層ビルの為かテナントもオープンしている所が少ないらしくエレベ
ータは空いていた。24階までノーストップで上るとエレベータは上昇を停止し分厚いド
アが静かに開いた。その向こうには受付カウンターがありその壁にはVRstudioのロゴが
掛けられている。何処と無く殺風景な感じがしてどちらかというとスタジオというより病
院のようである。病院と違うところはカンウターに大きな花が生けてあるところだろうか。
二人がエレベータを降りると真っ直ぐカウンターに向かい歩きだした。受付カウンタには
誰も居らず高梨は目に付いた呼び鈴を押してみた。するとすぐにカウンタの奥にあるドア
が開き中から男性が表れたのである。

「申し訳有りません。サービスオープンは明後日になっております」
「あっ、お客じゃないんです。こちらに佐伯はいますか?高梨と申します」
「失礼いたしました。そちらに掛けて少々お待ちください」

男が出て来たドアに消えるとすぐに二十歳代と思われる女性が入れ代わりに表れた。背丈
は160cm位だろうか比較的小柄な薄いグレーのタイトミニスーツに身を包んだカーリー
ヘアーの美人はドアのところで会釈をするとこちらに近づいて来た。

「お待たせしました。よく来てくれたわネ」
「あの、佐伯は?」
「いゃだ、私が佐伯よ(笑)」
「????」
「部長もようこそいらしゃいました」
「すっかり変わってしまったのね」
「やっぱり、私にはこちらの方が合っていたみたいですわ」
「もしかして、佐伯、、さん?・・・部長は知っていたんですか?」
「えぇ、電話を貰った時に声が女性だったので確認したのよ」
「なんで話してくれなかったんですかぁ。もしかして僕を驚かすつもりで?」
「そういうつもりじゃ無かったのだけど、ごめんなさいね」
「でも、一度確定した転換は元に戻れないんじゃなかったかなぁ」
「正規の手続きではね、だから私の戸籍は男性のままなのよ(笑)」
「非合法な処理をしたんだ?」
「そう、一度は諦めていたんだけど、ここの社長と知り合って紹介してもらったの」
「この会社は非合法の商売をしている会社なのか?」
「まさか(笑)、ここは合法的な商売をする会社よ。ヴァーチャルな体験をするスタジオ
なの。簡単に言うと普通では体験出来ないような仮想的な空間を作ってその中に精神を
送り込むのよ」
「映画の中に入り込む見たい感じなのかな?」
「そうね。アバターに入って現実と同じような体験が出来るのよ。猫や犬になる事も出来
るし、当然、人間として仮想空間を体験も出来るの」
「魚や蝿にもなれるのか?」
「そうね(笑)感覚も味わえるのよ。痛いとか暑いとか苦痛や快感も現実の世界と同じよ
うに体験するの。もっとも死の感覚だけは制御されていて体験できないのよ、本人が死
んだと思うと現実の世界では植物人間になってしまうの」
「ふーむ、面白そうだね」
「二人には体験してもらいたくて部長に電話したのよ。以前の会社ではお世話になったし」
「試させてもらえるんだ?僕は鳥にでもしてもらおうかなぁ」
「部長は今年が決断リミットの年よね、男性として性転換申請して生きるかどうかの」
「そうね、でも今のままで良いと思ってるわ」
「そう言わずにバーチャルなんだから男性としての体験をしてから判断しても遅くないん
じゃないかしら?私の時もこのスタジオがあればこんな事にならなかったと思うの」
「・・・・・・」
「あとで男性になっとけば良かったと思っても手後れよ」
「高梨さんも一応女性になれる権利はあるんだから考えてみれば?」
「僕は男性で満足さ、権利は行使しないよ」
「そうね。純男性は今の時代、貴重価値だからわざわざ女性になる人はいないかもね」
「私、不安だから高梨君も一緒にバーチャル空間にダイブしてくれない?」
「良いですけど女性になるのはなぁ」
「もしかして女性を蔑視してる?高梨君」
「いえ、そんな事ありませんよ」
「だったらお願い。女性に転換申請をしてって言ってるわけじゃないんだから」
「そうよバーチャル体験するだけだもの深刻に考えなくても(笑)」

部長と佐伯に勧められて高梨もダイブする事にした。VRstudioのダイブ室は個室になっ
ていてクッションの良いリクライニングシートが各部屋に備え付けられていた。高梨はそ
のシートに座らされ、なにやら配線のようなものを体のあちこちに付けられたのである。
目を瞑ると頭の中で佐伯の声が聞こえて来た。

「二人とも準備は良いわね。今から50年前の日本にダイブしますから、その当時の知識
や習慣は初期設定として記憶させているので問題ないと思います。1時間の旅行ですが
楽しんでください」


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